2026年3月27日(金)、米国サンフランシスコのデジタルガレージ社にて、マンガとテクノロジーの未来をテーマにしたイベント「Gene Of Creativity: Mapping The Future Of Manga And Technology(創造の遺伝子:マンガとテクノロジーの未来を描く)」を開催しました。本イベントは、在サンフランシスコ日本国総領事館、株式会社デジタルガレージ、北カリフォルニア・ジャパン・ソサエティ(JSNC)、株式会社オレンジの共催によって実現したものです。各団体のネットワークと専門性が交わることで、テクノロジー、マンガ、出版、日本文化といった異なる分野の関係者が集まり、分野横断で議論・交流が行われる場となりました。当日は、2023年に北米でもアニメが配信された『AIの遺電子』の作者である漫画家・山田胡瓜先生を日本から特別ゲストとして迎え、テクノロジー業界関係者、マンガファン、出版業界関係者など約130名が来場。AIの進化が、グローバルな日本のポップカルチャーにおけるクリエイティビティをどのように変えていくのか、多角的な議論が交わされました。■ メインセッション:山田胡瓜先生が語る「人間とテクノロジーの進化し続ける関係」イベントは、山田胡瓜先生を招いた基調対談からスタート。モデレーターは当社Experiential Marketing Managerの近藤那央が務めました。山田先生は、AIの進化を前提とした「人間とテクノロジーの理想的な関係性」や、作品の着想について言及。2015年頃にディープラーニングの社会的影響に衝撃を受けたことが、『AIの遺電子』の構想に繋がったというエピソードを披露しました。また、創作活動において、ChatGPTやGemini、NotebookLMなどのAIツールを「共同作業者」として積極的に活用し、アイデアの発想やストーリー構築に役立てているという具体的な制作秘話も明かされ、創造性を拡張する存在としてAIを捉える姿勢に、参加者の高い関心が集まりました。■ パネルディスカッション1:米国市場におけるマンガのグローバル展開続いて行われたパネルディスカッションでは、Kodansha USAのAlvin Lu氏、Viz MediaのAndy Nakatani氏、Kinokuniya USAのShingo Nozaki氏が登壇し、北米におけるマンガ市場の現状と今後の展望について議論が行われました。マンガ市場はコロナ禍を機に大きく成長し、現在もその勢いを維持しながら拡大を続けています。かつては一部のコアなファン層を中心に支持され、専門店や限られた流通チャネルで扱われることが多かったマンガも、近年では読者層が広がり、現地のアメリカ人を中心により幅広い層へ受け入れられるようになってきました。こうした変化を背景に、書店売上の増加や地方都市への市場拡大などに加え、オンラインとオフラインを組み合わせた販売チャネルの変化にも話題が及び、マンガがグローバルなコンテンツとして定着しつつある現状が示されました。■ パネルディスカッション2:クリエイティブの最前線|日本のポップカルチャー × AIテクノロジー2つ目のパネルディスカッションでは、AnthropicのAlbert Webson氏とともに、当社CEOの宇垣が登壇。モデレーターは、Machine CinemaのMinh Do氏が務めました。本セッションでは「効率化と品質の両立」「創作における人間の役割」「文化とテクノロジーの相互作用」をテーマに、AIの進化がクリエイティブ領域に与える影響について議論が行われました。AIを単なる効率化ツールとして捉えるのか、それとも創造性を拡張する存在と位置づけるのかについて多様な意見が交わされるなかで、宇垣は、オレンジが翻訳プロセスで活用するAIについて、「翻訳者から仕事を奪うものではなく、創作を支えるためのツール」として位置づけていることを説明しました。AIがベースの翻訳や写植、レイアウト調整などの基礎的な工程を担うことで、人間は作品らしさの表現や作者の意図の反映、シリーズ全体の一貫性の確保、さらには文化的ニュアンスの調整といった、より創造的なプロセスに時間を割くことが可能になります。また、最終的な品質担保は人間が担うという前提のもと、AIと人間が協働することで高品質なローカライズを実現している点についても紹介しました。さらに、翻訳技術の進化によって文化的な障壁が低減され、日本発コンテンツが世界へ広がる可能性についても期待が示されました。北米マンガ市場のトップランナーやAI技術の最前線にいる方々と共に、マンガ産業の持続可能な未来について対話を深めることができた本イベントは、日本のコンテンツを世界に繋ぐための大きな一歩となりました。また、分野を横断した参加者間の交流も活発に行われ、「クリエイティブとAI」というテーマが、いかに多くの参加者にとって共通の関心領域であるかが浮き彫りになりました。なお、基調対談にご登壇いただいた山田胡瓜先生の代表作『AIの遺電子』は、2026年5月1日より当社のマンガアプリ「emaqi」にて英訳版の配信が開始されます。当社は今後も、テクノロジーを活用しながら素晴らしい作品を世界中の読者へ届け、クリエイターが新たな創作に挑戦し続けられる、健全なエコシステムの構築に邁進してまいります。「Gene Of Creativity: Mapping The Future Of Manga And Technology」イベントページ:https://www.usajapan.org/event/gene-of-creativity-mapping-future-of-manga-technology/撮影:Hiro Sogi Media